幸福度診断の多くは、点数を1本だけ出します。点数が高ければ幸せ、低ければ不幸せ、という前提です。しかしこの前提には無理があります。
たとえば、毎日忙しくて消耗しきっているが、同時に仕事も人間関係も充実している人がいます。この人を1本の物差しに乗せると、高い部分と低い部分が打ち消し合って「普通」になります。実際には良いものも重いものも両方たくさんあるのに、その情報がまるごと消えてしまいます。
逆に、困っていることは何ひとつないが、心が動くことも何もない人もいます。この人は「不幸せ」ではありません。かといって「幸せ」とも言いにくい。1本の物差しでは、やはり「普通」の位置に置かれます。
研究の世界では、この2つを分けて測るのが標準的な扱いです。はたらく文脈では、慶應義塾大学の前野隆司研究室とパーソル総合研究所が、はたらく幸せの7因子(自己成長・リフレッシュ・チームワーク・役割認識・他者承認・他者貢献・自己裁量)とはたらく不幸せの7因子(自己抑圧・理不尽・不快空間・オーバーワーク・協働不全・疎外感・評価不満)を、それぞれ別のものとして特定しています。
不幸せ側の因子を見ると、幸せ側の裏返しになっていないことが分かります。「理不尽」の反対は「自己成長」ではありませんし、「オーバーワーク」を減らしても「他者貢献」は増えません。減らすべきものと、増やすべきものは、別の作業だということです。
当サイトの幸せ度・不幸せ度診断が2軸で結果を出しているのは、この考え方によります。20問のうち10問が幸せ側、10問が不幸せ側で、不幸せ側の設問は幸せ側の否定形にしていません。裏返しで作ると2本の軸が1本に戻ってしまうためです。